無糖バニラ
「お、おはよ、仁奈。びっくりした。同じ時間になるのめずらしいよね?」

「ねー。芦沢くんもおはよー!」


あたしに抱きつきながら、仁奈は前方を歩く翼にも声をかけた。

近くを歩いてる女子生徒の数人が、その声に反応してこちらを見る。

怖いもの知らずすぎる!


「仁奈、ちょ……」

「芦沢くんも一緒に学校行こー!」


そんなことはお構いなしに、仁奈は笑顔で手を振る。

翼は少し困った顔で、それでも足を止めて、あたしたちが追いつくのを待ってくれているみたい。


「行こっ、このは」

「あっ……」


仁奈は楽しそうにあたしの手を引く。

見えてないのかな、周り……。

気にしてないだけなのかな。
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