無糖バニラ
――バシッ!


それは、痛いよりも熱いような、そんな衝撃だった。

誰よりも驚いていたのは、殴った本人。


「このは!」


絶対床に頭を打つ。
仁奈の悲鳴を聞きながら立てたそんな予感は、的中することはなかった。

倒れないように、体を支えてくれているのは翼。


「このは!大丈夫!?もう!助けなくていいって言ったじゃんバカー!」

「だって……」

「だってじゃなーい!もぉー!」


泣き叫ぶ仁奈の声が、頭に響いてズキズキする。

口の中で鉄の味がする。

やばい、頬っぺたの内側切れた……。

唇のはしに指で触れると、血が付いた。

あ、ここも切れてる……。
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