無糖バニラ
「でもさ、ここ学校割と近いから、いつかはバレんじゃね?」


それは、実はあたしも思っていた。

中学の時もそんな感じで広まっていたし、同中の人だって学校にはいるし。


「ケーキ屋がバレるのは、まぁ仕方ない。とりあえず、こいつと幼なじみってバレないならそれでいい」

「おい、お前、さすがにそれはキツい……」


小嶋くんが気を使って、あたしをチラチラ見るけど、翼の言葉にあたしはもう言葉を発する気力を失った。

今日、来なきゃ良かった……。


あたしは、唇を噛んで下を向く。

お客さんが小嶋くんだけでよかった。

こんな泣きそうな顔で、接客なんかできない。
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