無糖バニラ
でも、こんな言い方じゃ、ただ傷つけるだけで……。

ハラハラしながら、何を言うか少しも考えていない状態であたしが口を開くと、翼は頭を下げた。


「ごめん。気持ちは嬉しいけど、このはは傷つけないでほしい。こいつ、昔から俺のせいで嫌な目にばっかりあってるから」


翼が謝った……。

失礼ながら、すごく驚いた。

あんなに女嫌いだったのに、その相手に謝るなんて……。

教室中も、またざわざわし始める。


「う、ううん、私たちこそ、本当にごめんなさい……。このはも……」


急にしおらしくなって謝られて、あたしは面食らう。

っていうか、また翼、「俺のせい」とか言った。

思いっきり否定してやりたいけど、この場を収めるにはそうじゃなくて。


「謝ってくれて、ありがとう。あたしは大丈夫」


またそんな展開になっても、受けて立つし。

そんな言葉を隠して、笑った。
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