無糖バニラ
会いたくなったからって、本当に会いに行くとか。

後先見なすぎる。


でももう来ちゃったし。
今から学校に行っても遅刻だし。

ひとりで寝込んでいる幼なじみが心配だし。

……翼の顔、見たいし。


よし、とこぶしを固めて、裏口の扉を軽くノック。

表玄関は鍵がかかっているけど、裏口なら開いていることを知っている。

ノックへの返事はない。

翼の部屋は2階だし、きっと聞こえていない。


「お、おじゃましまーす……」


あたしは小さくあいさつをして、扉を開けた。
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