プリズム!
「そうはいかねェんだよ。お前の兄弟の『冬樹』に、俺達は借りがあるんでね。あんたを有効に利用させて貰うぜ?」


(『借り』…?)

顔を近付けてニヤついている男に不快感を覚えながらも、夏樹はその言葉の意味を考えていた。

(…以前もこいつらと、会ったことあったっけ…?)

いまいち思い出せなくて、記憶を(さかのぼ)ってみる。


上級生の5人組。

以前『冬樹』が何かした…らしい…?

『借り』というからには、多分…。


そこで、あることを思い出した。

(そうか…。前に屋上で絡んできた上級生達か)

何だかんだ絡まれている所に、()が悪いことに力がやって来て。

力が集中的に痛めつけられているのを見ていて、許せなくて…。


(オレがのしてやった奴らだ…)


思わぬ所で『借り』とかつくられてしまうものなんだなぁと、しみじみ思う。

(あれは正当防衛なんだし、そんなのでいつまでも根に持たれても困るよな…)

夏樹は小さく溜息を吐いた。

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