プリズム!
泣いたことも勿論なのだが、何より恥ずかしかったのは抱きかかえられながら保健室まで行ったことだった。

(雅耶があんな大胆な行動に出るとは思わなかった…)

大勢の注目を浴びる中、雅耶は保健室まで自分を横抱きに抱えながら運んでくれた。

普段なら『降りたい』と、こちらが意志を示せば『そうか?』と降ろしてくれそうなものなのに。

昨日の雅耶は違った。

雅耶の胸を借りて顔を隠していた自分と違って、雅耶は皆の注目を一身に浴びてしまっていたのに、全然動じない様子だった。

その上、何故だか嬉しそうだったなんて。


(オレの慌てた反応がそんなに面白かったのかな…)

雅耶の男心が解っていない、夏樹だった。



保健室には当然のことながら清香がいて、二人の思わぬ登場の仕方には流石に驚きを隠せない様子であった。

だが手当をして貰っている途中で、クラスでの集合連絡が入り、雅耶が保健室を出て行くと、先生は優しく夏樹の話を聞いてくれた。

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