プリズム!
そして暫くは眠れそうもないという夏樹を、とりあえず横にならせながら、雅耶はその傍について様々な話をしながら一緒に過ごしていた。

そうして過ぎゆく時間はあっという間で…。


既に日も暮れて来た頃、雅耶は帰る支度を始めつつも何処か思い切れずにいた。

未だ熱の高い夏樹を一人置いて行くのは心苦しく、何より心配で堪らない。

玄関まで見送ると言って起き出した夏樹を前に、雅耶は眉を下げた。

「本当に一人で大丈夫か?もしも夜になって熱が上がったら…」

「もう、平気だってば…」

夏樹は、その雅耶のあまりの心配仕様に吹き出して笑った。

「もし辛くてどうしようもなかったら雅耶に連絡入れるよ。それで良いでしょう?」

無邪気に笑顔を見せる夏樹に、雅耶はつられるように微笑んで頷くと、ずっと気になっていた言葉を口にした。


「なぁ…夏樹は、野崎の家に戻るつもりはないのか?」


あの家なら隣なので、異変にもすぐ気付けるし、何かあれば即駆けつけることが出来るのに。

そう言外に語る雅耶の瞳を見つめながら、夏樹は穏やかに口を開いた。

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