プリズム!
それから約二週間が経過した、ある土曜日。


「よーし。せーので持ち上げるぞっ」

「おっけー」

「「せーーーのーーーっ」」

雅耶と長瀬で息を合わせると、本棚の端と端を持ち上げてゆっくりと階段を昇って行く。

「二人とも、気を付けてねっ」

心配げに声を掛けると「これ位、全然平気平気っ」と、余裕の笑みが返ってくる。

そんな頼もしい二人を見送って。

夏樹は、その他の細々した物を詰め込んだ段ボールを取りに家の前に停車している車へと向かった。


『野崎の家に戻るつもりはないのか?』という雅耶の質問に、一応戻る気はあるということを伝えたのは、ついこの間のこと。

あの日から二日ほど寝込んでしまった自分を心配して、雅耶は連日学校帰りに顔を出してくれた。

だが、そんなこともあり、尚更雅耶の心配を(あお)ってしまったようで、野崎の家へ早々に戻って来ることを日々勧められる形になってしまった。

いつかは戻ろうと漠然(ばくぜん)と思ってはいたが、まさかこんなに急に引っ越しすることになるとは、自分自身思ってもみなかったというのが本音で。

確かにひと月経つごとに月々の家賃が掛かってしまうのだから、経済面で見てみれば、早めに動くに越したことはないのだけれど。

何だかんだと説得をされて夏樹が了承すると、そこからの雅耶の行動は早く。

雅耶は着々と引っ越しの準備に動き、雅耶の父に車の手配まで頼んでくれたのだった。
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