プリズム!
そんな自らの思いに(ふけ)っている夏樹には気付くことなく、愛美は嬉しそうに言葉を続けた。

悠里(ゆうり)ちゃんと(さくら)ちゃんが日程とか色々調べてくれたんだよっ。ね?今度の土曜日、皆で一緒に行こうっ」

「う…うん…。そうだね…」

悠里と桜というのは最近仲良くなったクラスメイトで、学校ではこの四人組で行動することが多くなっていた。


(皆と一緒なら、何とかなるかな…?)

いざとなったら、普通に『冬樹の双子の妹』として通せば良いだけだし。



その日、学校で悠里や桜を交えてからも、話題は自然と学園祭のことについてばかりになった。

休み時間、窓際の一番後ろの席である夏樹の机に皆で集まって、話に花を咲かせる。


「何か部活の先輩達に聞いた話だと、成桜の生徒で成蘭の学祭に行く人達、結構いるらしいよー。何でも学祭の日から合同イベントの企画が動き出すらしいんだって」

「あ、私もそれ聞いた。両校の生徒会と実行委員が顔合わせするって言ってたね。多分、会長の早乙女さんとかも行く筈だよ」

「へぇー」

悠里と桜は二人とも吹奏楽部で、部の先輩に生徒会役員がいるとかで割と学園内のことに関しては情報通なのだ。

「合同イベントの実行委員になれば、成蘭の男の子達とも出会う機会が多くなって、彼氏出来る率がUPするんだってー。イイよねーっ。知ってたら私も実行委員なったのになぁー」

「ホント、羨ましいよね~っ」

悠里と桜は、二人でうっとりして盛り上がっている。
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