姉妹ものがたり
「お前…ばあちゃんみたいな。もっと弥生さんみたく優雅に飲めないのかよ」
うるさい慎也をキッと睨みつけて、構わずグイっとカップを傾ける。
チラッと視線を向けてみれば、両手でカップを包み込むようにして柔らかく微笑む弥生と目があった。
「お砂糖とミルクも持ってきたから、好きに使ってね、さつきちゃん」
にっこり笑うその顔に、慎也がだらしなく頬を緩める姿が横目に伺える。
「バッカみたい…」
ポツリと呟いて紅茶を啜れば、心なしか先程よりも渋みを感じる。
それがまた気に食わなくて、皐月は僅かに眉根を寄せた。
「ところでさつきちゃん」
温まってきたカップを両手で包んで、中の液体を揺らしていると、改まった弥生の声が聞こえて皐月は顔を上げた。