姉妹ものがたり
「テスト勉強は、しなくても大丈夫なの?」
にっこり笑ったその顔に、ハッとしたように時計を見上げる。
なんだかんだで、グダグダと時間を無駄にしてしまっていた。
慌てて教科書を広げ始める皐月を眺めて、クスっと笑みをこぼした弥生は、テーブルの上の皿や箱を片付けにかかる。
「今日は泊まって行くんでしょ?晩ご飯はカレーでいいかしら」
弥生の問いかけに無言で頷き返した皐月の横で、慎也も大きく頷き返す。
「あっ、おれ手伝いますよ」
「ちょっと待て!なんであんたは一緒に食べる気満々なのよ」
バシっとテーブルを叩いて声を上げると、慎也が驚いたように目を見張る。
「何言ってんだよ。もちろんおれも泊ま…」
「らせるわけないだろうが!このバカ!!」
勢いで繰り出した膝蹴りを見事にかわされ、苛立ち紛れに放った右ストレートもあっけなく掴まれる。