ラ・ヴィ・アン・ローズ


「あら、この部屋」

「あぁ、ちょうど空いていた」

前も泊まった部屋。

今回は無理だと思ってたけど取れたのね。 よかった。

でも、お高いんだけどそれを言うと『この部屋に泊まったからといって破産するわけでもないし。それとも何か?俺には払えないとでも』と片眉上げて嫌味を言われるのは目に見えてるから

「ありがとうございます」

「ん。さ、飯に行くぞ」

相変わらずせっかちなんだから。

「ちょっと待って下さいね」

部屋で寛ぐ間もなく鞄を寝室に入れて身繕いを整え

「お待ちどうさま」

最上階にあるフレンチレストランへ。

「いらっしゃいませ」

窓際の席に案内される。

このホテルの前は海。

5月も半ばで海に沈む夕日を臨むことが出来る。

オレンジ色に輝く空と海の青のコントラストが綺麗。

「特等席ですね」

「そうだな」

「……」

感動してるのかしてないのか素っ気ない返事。

ま、恭介さんらしいけど。

「ん?」

ワインをオーダーしてウェイターさんが下がると

「どうかしたか?」

「どうもしてませんよ。景色が綺麗だなって思ってるだけです」

「冬と違って日が長くなったからな。1月に来た時はもう真っ暗だったし」

「そう…ですね」

やっぱり恭介さんは現実的な旦那様です。




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