もしも君を愛すなら……。
何一つ叶わないまま、出国の日が近付いていった。


慧君と最後に話したのは、始まりと同じ、移動教室の時。


向かいから歩いてくる慧君を見て、溢れ出そうになる涙を必死に堪えた。


そして、あっさり会話は終わってしまった。


「……私、すっかり泣き虫になっちゃったよ……。慧君……」


そう声を漏らし、私は涙を拭った。


翌日の放課後、私は彩先生の下へと向かった。

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