夏を殺したクラムボン
「こっちこないで、殺人鬼」
「これ入れたの、真木さんたち?」
「なにそれ?罪をなすりつけないでよ。
証拠は?」
「……私はやってないもの」
莉央に対峙し、周は血だらけの両手を下げて言い切った。
軽く息を吐いた莉央は、
「ふざけないで!あんたでしょ?あたし、知ってるんだから」
と顔を引きつらせて笑った。
「どういうこと?何を知ってるの?私は……」
莉央は前を向いたまま、口を開く。
「ユキコ、ミヨ。葉月のこと、押さえといて」
「え?」
ついと声をかけられた2人の女子は驚いた顔をして莉央を見た。莉央は左右に目をやり、
「みんなに証拠見せるから」
と周に視線を移す。
「ね、お願い」
「わ、わかった……」
じりじりと2人は周に近づいていく。
莉央は声に出さず呟いた。
『……許さない。浜田を殺したくせに』
「なに?こないで……こないで!」
周が後ずさりつつ叫んだ。窓際に追い詰められた周は手すりを握りしめ、歩み寄ってくる2人の女子を憎々しく見つめる。
赤い手形が手すりに残った。
筋肉質なミヨが手すりから周を引き離し、背が高いユキコが周を羽交い締めにする。
「やめてよ!!」
全身に力を込めて抵抗するも、ただ1人の力では抵抗することすら叶わなかった。160cmの身体が震え始める。
「ねえ、みんな見ててよ!こいつが犯人だっていう証拠、見せるから!」
莉央は全員にそう呼びかけ、唇を引き締めて周に歩を進めていく。
すぐそばの床に捨てられたままの猫を眺め、
成海は両手の拳を握った。