夏を殺したクラムボン
人差し指で中を探ると、やけに弾力のある感覚が全身に走った。
粘着質な液に濡れた、柔らかなものがある。莉央たちの高笑いが脳内を満たし、息を呑み、両手を入れてそれを引き出した周は目を見開いて声にならない悲鳴をあげ、赤黒い塊を地面に投げ捨てた。
……え?なに、これ。
蛍光灯に照らされ鈍く光るそれは、
赤黒く染まった白い仔猫の死骸だった。
……だれ?
死骸を直視した女子が悲鳴をあげ、それは伝染して広まっていった。男子たちの間にはどよめきが生まれ、狭い教室に混沌の渦が生まれる。机の中を覗くと、そこには血だまりに漬かった小説が1冊残っていた――。
「……えっ、うそ、葉月さん、本当に殺人鬼だったの!?」
教室の後方からひときわ大きな声があがり、全員は動揺を抑えずそちらを向く。莉央たちは怯えた目で周を指差した。
幾十の恐怖がこもった視線は周の身体を突き刺し、彼女は殺意の燃える目で莉央をねめつける。
「嘘でしょ……普通、机に入れとく?」
氷のような莉央の声が室内に染み渡った。
「狂ってる」
「……真木さん、なに、これ」
「は?なんであたしなの?あんたでしょ?」
成海が顔をあげるが、周はそのことに気づくこともなく、汚れた手のまま教室の後方に向かった。静寂が泣いている。