夏を殺したクラムボン



「犯人は窪田だった。殺害場所はT神社の裏にある古い公園。猫を殺した理由は、動物殺害の罪を葉月にかぶせるため」



周はうつむき、長い睫毛を伏せる。成海は彼女を無言で見つめたあと、視線を逸らし言った。



「窪田が殺したのは葬式の日の犬と、おとといの猫の、2匹だけだった」

「……え、じゃあ」



周は顔に驚愕を滲ませ、口を開いた。



「まだこの街には、浜田を殺した犯人と、今まで小動物を殺していた犯人がいるってこと?」

「……さぁ」



踊り場の陽が消える。太陽に雲がかかったらしく、明るかった踊り場に薄い影が忍び寄る。



「犯人は窪田なのに、なんでみんな……成海を疑ってるの?」

「窪田に条件を出したんだ」



成海は立ち上がり、曲がり角に顔を出すと辺りに人気がないことを確認した。



「僕が全ての犯人だと、2年4組の全員に広めること」

「成海が言ったの?」

「……うん。窪田はちゃんと広めてくれたから、もうばらす必要もないし……」

「ちょっと待って」



壁にしなだれかかっている成海の目を眺め、周は眉間にしわを寄せる。



端正な周の顔をまっすぐに見返し、成海は退屈そうに彼女の言葉を待った。



「……どうしてそんなことをするの?」



声に不安の色が浮かぶ。成海は無表情で腕を組んでいたが、やがて短く息を吐き出し歩き始めた。



雲が晴れたのか、踊り場に光が戻る。



「たまには自分で考えてみなよ」



成海は周に背を向け、呆れた声を出す。



「でも、成海がそんなことをする必要は……」



足を止め、成海は心なしか憂いを漂わせ、
振り向いた。










「……葉月が気付いてくれないと、
 全部、意味がなくなるんだ」










チャイムが鳴り響く。



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