夏を殺したクラムボン
黒板に足された文章を写し終えた途端、授業終了のチャイムが鳴った。
教科書とノートを机の中に片付け、次の授業の用意をする。隣の席を見るが、成海は目をつぶっており、起きているのか眠っているのかはわからなかった。
教室を抜け、東階段へ足を運ぶ。すれ違う同級生たちは、周のことを気にも留めず友達と歩いていく。
3組、2組、1組の教室からは弾けるような笑い声が溢れていた。
東階段についた周は成海を待ちながら壁にもたれかかる。踊り場についた小窓から、輝く陽が射していた。
……黒板のメッセージを書いたのは、やっぱり成海だったのだろうか。昨日、私の知らないうちに何かがあった?
鬼ごっこをしているのか、周の数メートル先を2人の男子が駆けていく。
その2人と入れ替わるように、眠たげな目をした成海がゆっくりと姿を現した。
「……昨日、何があったの?」
「手早く説明する」
成海は階段の最下段に腰を下ろした。周もやや成海と距離を置き、1段上に座る。
成海は癖毛をいじり、どう話せば良いのかを悩んでいるようだったが、手を床につき話し始めた。
「まず、猫を殺したのは……窪田だった」
「え?」
「おとといから僕は窪田のことを睨んでいて、あいつをはめるために黒板にメッセージを書いた。殺害場所を知っているのは犯人しかいないから、窪田についていけば勝手にその場所に言ってくれるだろうと思った」
「……犯人は窪田だったの?」
困惑している周を一目し、成海は冷静に
「そうだよ」
と答える。