初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
そして、私が柊ちゃんのとなりの座布団にゆっくりと腰をおろすと。


「なずな、ほんと久しぶりだな」


……と、柊ちゃんがそう声をかけてくれた……。



「……柊ちゃん、私のこと覚えてるの?」

おず、と私がそう尋ねると、柊ちゃんは「え?」と言って小さく笑って、


「そりゃ覚えてるよ。よくいっしょに遊んだじゃん」

そう答えてくれた……。


わああ……うれしすぎる……!



その後、私と明里ちゃんもビールを頼み、みんなと思い出話に花を咲かせていく。


でも、みんなで話していても、どうしても柊ちゃんのことが気になってしまい、私は彼にチラチラと何度か視線を向けていた。
すると、柊ちゃんとパチッと目が合った。そして。

「なずなはみんなの話聞いてる感じで、あんまり自分のことは話さないんだな」

と、やさしい瞳とやさしい声色でそう話しかけてくれた。周りのみんなは結構できあがっていて各々騒いでいたから、私と柊ちゃんがふたりきりで話していてもなんの違和感をもたれることはなかった。

あらためて柊ちゃんの顔を正面からきちんと見つめると、ほんとに整ったキレイな顔立ちをしている。切れ長で少し細めの瞳と、うらやましいくらいにサラサラでストレートな黒髪は昔から変わらない感じがしたのに、幼くてかわいかったあの柊ちゃんが、今はこんなに素敵な男性に変わっている。


「う、うん。あんまり自分の話するの得意じゃないから。みんなの話聞いてる方が楽しい」
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