初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
「そう? 俺は知りたいけど。今のなずなのこと」

「え?」

戸惑う私に、柊ちゃんは話を続ける。


「今はOLとか? なにしてるの?」

「う、うん、OL。食品メーカーで事務やってる」

「そっか。なずなは、きっと昔と変わらず真面目に働いてるんだろうな」


ーー昔と変わらず。私のこと、ずっとそんなふうに思ってくれていたんだ、という事実に胸がきゅんと熱くなる。


「柊ちゃんは? 今なにしてるの? こっちで働いてるって聞いたけど……」

「俺も会社員だよ。アミリアで靴の販売やってる」

「アミリア⁉︎」


アミリアっていったら、知らない人はいないくらいに有名なシューズメーカーじゃないか。柊ちゃん、そんなすごいところで働いてたんだ……。


「ってことは、営業さん?」

「そう」

「そっか〜、すごいなぁ〜……! ほんとにすごいなぁ〜……!」


思わず口々にそう繰り返す私を見て、柊ちゃんはなぜかプッと吹き出した。


「え、なに?」

「いや、ごめん。だってなずな、ほんとに変わってないからさ。昔から、人のこと『すごい』ってよく褒めてくれてた。ちょっとオーバーなくらいに」

「え、そ、そうだった?」

「そうだよ。そういうところが好きだったんだから」


そう言われた瞬間、私の頬がカッと熱くなった。
すぐに照れるところも相変わらずだよな、なんて言われそうで、私はつい下を向いた。
< 7 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop