ズボラ女が恋する瞬間
「帰るぞ」


手を引かれ、大翔と並びながら歩く。


「で、お前はあの男をなんで慰めてたわけ?」

「加藤くん。加藤くんって、さっき一緒に居た人なんだけど。高校の時からずっと、一生実らない恋をしてる」

「諦めの悪い奴だな」


傍から見たら、そう見えるよね。


「違うよ。加藤くんは優し過ぎて、純粋過ぎるだけ。いつも相手のことばっかり考え過ぎて、自分のことは後回し。好きな子に好きな人が出来たら、好きな子の恋を応援するような人だし」

「加藤がバカなんじゃねぇ?それに、加藤が好きな奴も」

「バカなくらい、純粋なんだよ。それに相手が相手だから、あたしも何もしてあげられない。慰めてあげることくらいしか加藤くんにはできない」


自分は、何て無力な人間なんだろうって思う。

< 236 / 253 >

この作品をシェア

pagetop