小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「……俺の子…。」



―――真っ暗…。



真っ白の次は真っ暗だなんて…。
私の頭はいつからモノトーンになったんだろう…。



「…うそっ!!?」



自分でもびっくりするくらい大きな声が響いた。



「うそうそうそうそ!うそだよーッ!!」



ただっこのように繰り返す。



「やだやだ!嘘でしょ?嘘って言ってよ!」


「………」


「なんで?なんで?…ハルト…ナナコさんと…したの…?」


「……」


「違うよね?」
涙が頬を伝う。


「……ゴメン……」


気が遠くなっていく…。


酷いよ。

嘘だよ。

そんなの…。


―――でも。


でも…
わかってる。


ほんとだってこと。


こんなに辛そうなハルトの顔、見たことない。


夢ならいいのに…。

夢なら覚めて…?

私を現実の世界に戻して…?



「ゴメンな……ナナ……」



ハルトの声が遠くなっていく…。


プッツリ…―――。


私の記憶はそこで切れた。

もう…

すべてを消して…?





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