管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)


広さはそこそこあった。
小さめの庭付きで家族で住む家が1件建つくらいか。


が、


その分を脛ほどまである草を手で抜くとなると骨が折れる。


やむを得ず少しずつでも休み休み始めていく。


日中は暑く、熱中症の恐れもあり効率も悪い。


休日の午前中か、夕方に纏めてしてから除草剤を撒いた方がよさそうだ。


「近場になさそうだし、思ったより広い。目に付きやすいし場所はいいので、ここならいいんじゃないかね」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


大通りから少し外れた、民家もある場所だ。


そして名刺を渡すと業者は帰った。


小さな個人経営の会社らしく、土地建物の測定も請け負うらしい。佐東、と書いてある。


「あのっ、帰った方がよくないですか!?花井さん、いらっしゃってるんじゃあ」


引っ越しの準備だってあるだろうし、もしかしたらそのまま結婚したりとなると、いろいろ忙しいはずだ。


なにより、彼女以外の女性と一緒にいるなど、自分の彼氏がするのは嫌だ。


それがデートでなく、例え草抜きだろうと、掃除だろうと。


「気持ち悪いから、そういう気遣いやめろ」


「だって、私なら嫌です。妬きますよ」


「ふーん??意外と可愛いところもあるんだな」


「どういう意味ですか!?普通です!!」


「いいから、気にすんな」

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