その背中、抱きしめて 【下】
「チャラいにもほどがあるでしょ!」
高遠くんを一喝する。
「俺チャラくないでしょ。ずっと先輩一筋なんだから」
シレッとこっちが赤面するようなことを言う。
(いやいや、赤面してる場合じゃない!からかわれてるんだし!)
「私一筋な人が、急に他の女に乗り換えるわけがないんだよ」
あまりの怒りに声が低くなる。
手がワナワナ震える。
そんな私を見て、高遠くんは一つため息をついた。
(ため息つきたいのはこっちだよ!)
そして私の腕をグイッと引っ張って、私は高遠くんの胸に倒れこむ。
「あーもう、先輩の頭ん中どんだけめんどくさいんだよ。こんなことなら先に言っとくんだった」
イライラした声と私の背中を抱きしめる腕が矛盾してる。
「内村に交換条件出されて、受けるしかなかったんだよ」
ぶっきらぼうにそう言った。