その背中、抱きしめて 【下】
「何、交換条件って」
高遠くんにずずいと迫る。
私の知らないところで、そんなことやってたのかと思うと腹立たしさもピークに達しそう。
しかも、相川くんや桜井くんは知ってるのに私だけ蚊帳の外ですか。
「仮入部中の1週間、カレカノごっこしてくれたら男バレには入部しない、柚香先輩にも嫌がらせしないって」
「はぁ???」
いやいやいやいや、思いっきりこの1週間嫌がらせされてましたけど!!
どんだけ敗北感を味わったか知れないんですけど!!!
「怒らないでよ。今日が仮入最終日でしょ?ちゃんとあいつ入部しないって言ったから」
「別に入部すんなとは言ってないよ、私。ただ、高遠くんだけじゃなくて皆に平等に接してほしかっただけだよ」
私そこまで悪人じゃないよ。
そりゃ、そういう偏った考えの人とは気が合わないけど、一生懸命マネージャーの仕事してくれるならそれでいい。
「うん、知ってるよ」
高遠くんが優しく微笑んだ。
そして
「ごめんね先輩。この1週間のこと、ちゃんと話すから」
って、申し訳なさそうな顔をした。