その背中、抱きしめて 【下】



「だ…だったら言ってくれたら良かったじゃん。そういう事情があるなら私だって理解するよ」


高遠くんはゆっくり頭を上げたけど、その顔は切なげで…私は息を飲んだ。


「それを先輩に言わないのも交換条件だった。それで先輩が辛そうにするのを見て優越感に浸りたかったんだろうし、あわよくばそれで俺らが別れればいいと思ったんだろ」


な、な、なんて性格悪いの?

よくもまぁそんなことを…。



「でも、正直俺もいつ先輩に″別れる″って言われるか怖かった」

そう言って高遠くんは苦しそうに目を伏せた。



辛かった。

ほんとに辛い1週間だった。

走っても走っても出口のない闇にいるようで、どこに行ったらいいのかもわからなくて、絶望に似た感情に押しつぶされそうだった。


だけど、やっと出口にたどり着いた。

やっと光が当たるところに立てた。


だから…






「おかえり、高遠くん」





背伸びして高遠くんの首に抱きついた。



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