冷徹社長が溺愛キス!?
「“奈知”ってどういうこと?」
振り返ってみた彼女の顔は、興味津々という様子で目を光らせている。
「……どういうことって?」
「だって今、奈知のこと呼び捨てで呼んだじゃない」
「あ、あれは……」
「山で何かあったの? もしかして、山小屋で一線を越えちゃった!? ねぇ、そうなの?」
私に口を挟ませる隙もなく、矢継ぎ早に麻里ちゃんがまくし立てる。
一線を越えるというワードが、事実とは関係なく顔に火の手を上げた。
「やっぱりそうなの!?」
私の反応が麻里ちゃんをさらに興奮させてしまった。
「ち、違うの」
彼女を宥めようと両手を胸の前で広げる。
「何が違うの?」
「呼び捨てにしたのは、四文字より二文字を優先したから」