冷徹社長が溺愛キス!?
社長がそれを見て、納得しきった様子で小刻みに頷く。
いったい何なんだろう。
ふたりの不思議なやり取りを見ていると、今度は私のお弁当箱に視線が向けられた。
「おっ、ミニトマト発見」
言うなり、社長が私からミニトマトをつまみ上げる。
そして、あっという間に彼の口へ放り込んだ。
大事なミニトマトがひとつ姿を消したことを遅ればせながら認識して、「社長!」と思わず声を上げる。
「うん、やっぱうまいな」
社長もミニトマトが好きらしい。
そして目にも留まらぬ速さで、もうひとつ口に入れた。
「で、宿題はできたのか」
「……はい?」
「宿題だ」
ポカンと聞き返した私に、社長が憮然と言い放つ。
「――あっ、いえ……すみません……」
しりとりのことだったと思い出した。