冷徹社長が溺愛キス!?
美優は大学を卒業してから地元の市役所へ就職し、この実家から通っている。
容姿は似ているのに、のんびり屋の私とは真逆の性格。
てきぱき動くし、気も利く。
場の空気を読むことにも長けていて、私の妹とはとても思えないくらいだ。
「そうだ。お母さんがおねえちゃんに写真を見せておいてって言ってたんだ。確かここら辺に……」
美優がテーブルの下にあるラックをごそごそ探る。
写真、つまりそれは、この前の電話で話していたお見合い相手のものだ。
「そんなの見ないってば」
「いいじゃん、見るだけなら別に。お母さん、いじけちゃうよ?」
いじけても怒っても、結婚をするつもりはまだない。
しかも、親が見つけてきた相手なんて、運命を感じない。
「あ、あったあった。これだよ」
美優は、B5サイズの真っ白い封筒を私に突き出した。
仕方なしに、それを受け取る。
「それじゃ、私は渡したからね」
彼女はそれで用事が済んだのか、二階にある自分の部屋へと戻って行った。