冷徹社長が溺愛キス!?
◇◇◇
ゴールデンウィークが明けた翌日。
私は園田さんと、再び引き継ぎ業務に追われていた。
デスクには、今朝、加藤くんが各部署に配り歩いてマカデミアンナッツチョコレートが三粒ほど置かれている。
グアム土産だそうだ。
真っ黒に日焼けした顔をして、珍しくにこやかな笑顔で私にもくれたのだ。
ただ、「餌付けの一種ですね」という私に対する皮肉は忘れなかった。
私のほうはというと、あのあと実家には一泊だけして、半ば逃げるようにしてアパートへ帰った。
あのままいたら、それこそ休み中に相手とのお見合いを強制執行されそうだったからだ。
花の水やりがあったことも、ひとつの理由だった。
「それじゃ今日は、株主総会の招集通知を作成して、郵送の準備をしましょう」
お昼から戻ると、園田さんはパソコンに保存されていた昨年の通知をディスプレイに表示させた。
招集通知には、日時や場所のほかに当日の議案が書かれている。
損益計算書や賃借対照表、株式資本等変動計算書など、添付する資料の大半は、園田さんが既に準備していたものがほとんどだった。
「日付や曜日を今年用に修正して、議案はこれに直してもらっていい?」