冷徹社長が溺愛キス!?
「うん。ごめんね。また明日会社でね」
何か勘繰られたら心配を掛けてしまう。
早々に電話を切った。
地元の大学を卒業して、就職に合わせてこちらでひとり暮らしを始めたこともあって、近くに頼れそうな友達がほかにはいない。
「今夜はホテルに泊まります」
仕方ない。
明日もう一度管理会社に連絡をして、合鍵を作ってもらおう。
駅前にビジネスホテルがあるから、そこまで歩いて行こう。
「今日はありがとうございました」
頭を下げたときだった。
「仕方ねえ。俺んちに泊めてやる」
社長の声が降ってきた。
「……はい?」
すぐには理解し難くて、ゆっくり上体を起こして社長の顔を見る。
彼は、私ではなく斜め前方のほうを見たまま、鼻の下をこすっていた。