冷徹社長が溺愛キス!?

「そんなことはないわ。この前も、雨宮さんがくれたガーベラ、大事そうに自分で水を取り替えたりなんかして」


専務はそのときの様子を思い出したようにクスッと笑った。

あの社長が自分で?
思いもしない専務の報告に、なんだか嬉しくなる。


「まだ来てないだろうけど、カギは開いてるはずだから、中に入って置いて来てもらってもいい? 私、今ちょっと手が離せなくて。秘書もまだ出勤してないの」

「でも、私が勝手に入っても大丈夫ですか?」

「だって、何か悪いことをするわけじゃないでしょう?」


“悪いこと”というワードが、この前の夜のことを連想させて、キリキリと胃が痛む。


「どうかした?」


押し黙った私の顔を彼女が覗き込む。


「あっ、いえ。……それじゃ、そうさせていただきます」


一礼して専務室のドアを閉めると、隣の社長室をノックした。

応答はない。
やはりまだ出勤してきていないようだ。

< 186 / 272 >

この作品をシェア

pagetop