冷徹社長が溺愛キス!?

「カギはどうした」

「……カギ、ですか?」


何のことかすぐにピンとこなくてポカンとすると、社長が私に鋭い眼光を間近で浴びせた。
“コイツ、大丈夫かよ”と、その目が言っていることに気づいて、そこでようやく思い出した。


「あ、それでしたら……あったんです」


あまりにも間抜けすぎる結末に、白状する前から恥ずかしさが込み上げる。
社長は私の返答に「はぁ?」と首を傾げた。


「実は、会社のロッカーに……」

「……忘れただけだったのか」


コクンと頷く。


「本当に申し訳ありませんでした。社長にはご迷惑ばかりで。スーツは汚してしまったし、部屋に泊めてもらうようなことになって……」


そこで一気にあの夜のことが頭を駆け巡る。

髪に残る、社長の手の感触。
息もつけなかった口づけ。
今思い出してはいけないシーンが、DVDを再生したかのように鮮明に映し出された。

頬がカーッと熱くなる。
懸命に宥めようと試みた心臓は、暴れるいっぽうだ。

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