冷徹社長が溺愛キス!?
早く、社長室から出なきゃ。
絆創膏を貼り終えた手を引っ込めようとすると、即座に捕えられてしまった。
ハッとして社長を見上げる。
私の勝手な思い込みなのか、彼の眼差しにどことなく熱っぽさを感じて、それがさらに鼓動を速まらせる。
目を逸らさなきゃ。
そう思うのに、それができない。
強力な磁石に引き寄せられた小さなクリップのように、自力ではどうすることもできない。
瞬きをする隙もないくらいだった。
そのとき、社長が掴んでいた手を強く引き寄せる。
その弾みで、彼の胸に飛び込むような格好になってしまった。
「あっ、あの……」
この前の夜同様、どうしてこういうことになっているのか分からない。
社長のしていることがまったく理解できずにいた。
「奈知」
良く通るテノールの声が、耳の奥まで響く。
そのもっと奥では、私の心臓がドクンドクンと体中に伝わるほどの音を立てていた。
「……はい」
極度の緊張の中、ゆっくり顔を上げる。