冷徹社長が溺愛キス!?
◇◇◇
『ねぇ、なっちゃん。そろそろお相手に会う気にならない?』
この頃は夜になると、お母さんから頻繁に電話が入るようになってきていた。
毎度、同じセリフから始まる電話には正直うんざりとしていて、いくら嫌だと断っても、次の夜にはまた連絡がくる。
『ほかに好きな人がいるわけじゃないんでしょう?』
「――い、いないよ。いないけど……」
そばに置いてあったクッションをギュッと抱き締める。
勤め先の社長のことが好きだからなんて、口が裂けてもお母さんには言えない。
しかも、ちゃんとした彼女がいる人だなんて、やめておきなさいと言われるのがオチ。
実らない恋なんかしている場合じゃないと、余計にお見合いの話を進められそうだ。
『会うだけでもいいんだから。会ってみて、なっちゃんが嫌だっていうなら、お母さんたちも、それ以上は無理強いしない』
「だって、相手は? 私のことで調べることがあるとかないとか言ってたでしょう?」
探偵を雇うのか何なのか知らないけど。
身辺調査って、そんなに簡単に済むものなんだろうか。
『それなら、もういいみたいよ』