冷徹社長が溺愛キス!?
◇◇◇
そして、私が最も恐れる日はやってきてしまった。
園田さんが明日からいよいよ産休に入ってしまうのだ。
引き継ぎが始まった当初からそうしていたが、今日はさらに園田さんにべったり張りつき、ひとつも聞き洩らしてなるものかと神経を研ぎ澄ませていた。
「園田さん、出産をもう少し先に延ばせないでしょうか?」
明日から彼女の業務をひとりでこなさなければならない不安から、ついそんなことを言ってしまう。
無理は百も承知の上だ。
「そんなこと出来ないわよ」
ふふふと笑いながら、園田さんがお腹を愛おしそうにさする。
でも、私は本当に笑いごとじゃないのだ。
「雨宮さんなら、もう大丈夫。立派にやっていけるから」
「……そうでしょうか……」
そうだとは、とても思えない。
今朝だって、彼女に一心に注意を払っていたために、会議予約の入っていた部屋の開錠をし忘れていたのだ。
しかも、その主催者はまたもや加藤くん。
おかげで、『あなたときたら、いったいどうやったらそこまでの“抜け作”になれるんでしょうかね』と叱責されてしまった。