冷徹社長が溺愛キス!?

『“抜け作”って何?』と聞いたら、『そんなことも知らないんですか』と、今度は呆れられた。
きっと間抜けだとかいう侮蔑の意味合いなんだろう。

とにかく私はその“抜け作”で、そんな私が株主総会関連の仕事をひとりで全うできるんだろうか。
明日から頼みの綱の園田さんがいなくなるなんて、今はまだ考えたくない。


「大丈夫よ。そんな不安そうな顔しないで。はい、これあげるから」


そう言って園田さんは、大きな飴玉の包みを私の手の平にのせてくれた。


「……ありがとうございます」


それでつられるわけではないけれど、いつまでもそうして園田さんに泣きついてばかりいるわけにもいかない。
彼女が産休に入るのは、どうしても避けられない事態なのだ。
まだまだ不安は大いにあるけれど、いよいよ腹をくくるしかない。


「園田さん、私、頑張ります。園田さんが復帰してきたときに、逞しくなったと思ってもらえるようになります」

「その意気よ。何かあったら、連絡してきて大丈夫だから」


彼女に手を強く握られて、大きく頷いたのだった。

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