冷徹社長が溺愛キス!?
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それから忙しない日々が目まぐるしく過ぎ、とうとう株主総会の日がやってきた。
速水社長とは、社長室の一件以降、社内で見かけることも個人的に接触することもないままだった。
会場となるのは会社近くにある、普段はコンサートなどが開催されるホールだ。
株主総数一万人のうち、出席の連絡があったのは三分の一ほど。
会場の半分を埋める程度になりそうだ。
私も含む総務部メンバーの半分は、案内板や備品関係に不備がないか、朝早くからホールで準備に入っていた。
取締役のほか関係部署の部長職などは、開催時刻である午前十時の一時間半前に会場入りを完了。
昨日のうちに取締役などの代役を立てて簡単なリハーサルをし、あとは始まりを待つばかりだ。
園田さんから託された注意事項に何度も目を通す。
“各担当者の行動が、会社のイメージとなる。各自の行動が、総会に影響する面があることをよく心得ること”
いつも指摘されるように、間抜けな面が出ないように気をつけなくてはならない。
私が笑われる、イコール会社が笑われる。
つまり、社長が笑いものにされるということ。
全身全霊をかけて、それだけは防ごう。
“不測の事態が発生した場合は、部長に即報告し、指示を受けること”
その注意事項には、園田さんの赤字で“要注意人物あり”と書かれている。