冷徹社長が溺愛キス!?

園田さんに聞いたところ、毎年、総会に出席する株主の女性で、議題とは関係のないことを毎回質問してくるらしい。
議題とあまりにも関係のないことは答える義務が会社にないため、スルーされてしまう。
それに彼女が激怒するというのが、いつものパターンみたいだ。
彼女からは、今年も出席する旨の返信がきていた。


午前九時、いよいよ受付の始まりだ。
私も受付スタッフの一員として、入口に設置されたブースに立った。

開始直後こそパラパラとしか見えなかった株主は、九時半を過ぎた頃に急に増えはじめ、総会開始二十分前にはごったがえすほどになっていた。
おひとり様ずつ、丁寧に挨拶を繰り返し、こちらに控えてある名前と照合する。

単純作業を延々続けていると、ふと見知った顔がいることに気づいた。
思わず声を掛けようとして、ぐっと堪える。
注意事項の中に、株主の中に知り合いがいても声は絶対に掛けてはならないとあったからだ。

いよいよその彼が私の前に立つ。
私を見て彼もまたハッとしたようだったが、ニコッと笑うだけにとどめてくれた。
こういった場は慣れているみたいだ。


「おはようございます。久万蓮太郎様でございますね。お待ちしておりました」


あの久万さんだったのだ。
招集通知を出すときにはまったく気づかなかった。
彼もピュアネットジャパンの株主だったのだ。

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