冷徹社長が溺愛キス!?
丁重に受付を済ませると、久万さんは去る間際に私だけに分かるようにウインクを投げてくれた。
それが不器用なものだったから、笑いを堪えるのに必死になってしまった。
そうして総会開始の五分前を迎える。
当日来場した株主の議決権を、前日までの集計分に加えて、最終数字として議長に開会直前に知らせなければならない。
「時間がないぞ。早いところ数えよう」
課長と手分けして数え、議長へと報告した。
受付を締め切り、私たちはステージの袖に待機。
取締役や事務局は、既に入場が完了していた。
取締役の席は、ステージ右側に株主のほうを向いて設けられている。
その中に速水社長の姿を見つけて、鼓動がトクンと反応した。
議長が昨年度の業績報告を読み上げ、次々と議題をこなしていく中、つい社長ばかりを見てしまう。
彼は、背筋を伸ばし、株主席をまっすぐ自然体で見据えていた。
身じろぎひとつしない凛とした姿だ。
ほかの取締役たちより際立って素敵に見えるのは、きっと私の恋心のせいばかりじゃない。
こうして顔を見ているだけでドキドキしてしまうなんて、私は本当にどうしたんだろう。
ところが、その隣に座る三木専務を見て、甘い思いに陰りが射す。