冷徹社長が溺愛キス!?
誰がどう見てもお似合いのふたりの間に、私の入る余地はないのだ。
大きく溜息を吐いたところで、総会はいよいよ質疑応答の時間となった。
株主が次々と挙手し、今後の業績の見通しや配当政策についての質問が投げかけられる。
議長はそれに対して的確に回答し、そろそろ質問も出尽くしたかと思ったときだった。
株主席の一番前列に座っていた、ひとりの女性が手を上げて立ち上がる。
例の要注意人物だった。
受付で見たところ、年齢は四十代後半。
細身で美人の部類に入る女性だ。
いったいどんな質問をするつもりなんだろう。
回答する必要のない私にも、少しばかり緊張が走る。
要注意人物とはいえ、最初から無視するわけにはいかない。
議長はその女性に質問を促した。
「速水社長はまだ独身でいらっしゃいますよね?」
思わず彼女を二度見してしまった。
随分と突拍子もない質問だ。
会場内がざわつき始める。
議長は、「静粛にしてください」と、場内にひとこと断りを入れた。
「誠に申し訳ございませんが、議題から著しくかけ離れたご質問にはお答えしかねます」
丁寧に頭を下げる。