冷徹社長が溺愛キス!?
ところが、女性株主はそこで諦めるつもりはなさそうだ。
今度はその場に立ち上がった。
「恋人がいらっしゃるのかどうかは存じ上げませんが、私との結婚をここに提案いたします」
いたって真面目顔。
彼女は高らかにそう宣言した。
暴挙とも思える提案に、会場内が再びざわつき始める。
「申し訳ありません。そういったご提案は――」
「私は御社の株を十パーセントほど保有しております。その私と結婚されれば、速水社長は将来安泰。何も怖いものなどなくなるのです。これもまた、会社運営に関わる議題だと思いますが」
議長を遮って淡々と言葉を続ける。
この人、大丈夫なんだろうか。
よく見てみれば、真面目顔というよりは、少し目が座っているようにも感じる。
ある種の異様な雰囲気を醸し出しているのだ。
「あの株主、毎年ああして社長に結婚を迫ってるんだ」
驚いて固まっている私に、課長はそっと耳打ちをした。
株主総会という公の場で、社長に公開プロポーズなんて聞いたこともない。