冷徹社長が溺愛キス!?

◇◇◇

その日の仕事帰り。
麻里ちゃんは、珍しく私のアパートにご飯を食べに来ていた。
このところ、ずっと桐谷さんと過ごしていたから本当に久しぶりだ。

ふたりでそうめんを茹で、唐揚げを作ってテーブルに並べる。


「いただきまーす」


麻里ちゃんは大好きな柚子胡椒とネギやしその葉をめんつゆにたっぷり入れ、早速箸をつけた。
ツルツルといい音を立てながら、彼女の口の中に吸い込まれていく。


「うーん、美味しい! やっぱりそうめんには柚子胡椒だよね。って、どうしたの?」


ぼんやりとしている私を見て、彼女が箸を止める。


「え? どうしたって?」

「なんか浮かない顔してるなーと思って」


確かに気分はものすごく落ちてる。
今日の昼間見た光景は、まだ私の心に影を落としていた。
はなからどうにもならないと分かっていた恋心なのに、簡単に消化はできないみたいだ。


「何かあったの?」

< 221 / 272 >

この作品をシェア

pagetop