冷徹社長が溺愛キス!?
「えっ? 今から会社に? もうすぐ駅なんだけど」
『明日の朝イチの会議室を予約したいのです。駅なら、小走りで五分で戻って来られますよね』
なんて無謀なことを言うんだろう。
「明日の朝、確認して承認するから、メール送っておいてもらっていい?」
『朝一番の予定なら、前日までに送っておくように言ったのは雨宮さんですよね? ですから、こうして僕は前日の今、雨宮さんからの承認を待っているのです。とにかくすぐに戻ってください。あなたが来るまで、とことん待っていますからね』
加藤くんは淡々と機械的に言い、さっさと電話を切ってしまった。
折り返し掛けてみても、電源から切られている。
強制的に会社に戻らせる気満々みたいだ。
「麻里ちゃん、一度ちょっと会社に戻ってくる。加藤くんに呼ばれちゃって」
「そうなの? それじゃ、私が買物して、奈知の部屋に先に行って準備してるよ」
「ありがとう。そうしてくれる?」
バッグからアパートのカギを出し、麻里ちゃんへ渡す。
彼女はそれを受け取ると、「じゃ、またあとでね」と駅へ向かった。