冷徹社長が溺愛キス!?
早いところ帰らないと、麻里ちゃんをひとりで待たせてしまう。
「以前、雨宮さんは僕にこう言いましたよね。“容姿端麗で仕事もできる女性を口説き落としたのは、紛れもなく加藤くんなんだから、自信を持てばいいのに”と」
……確かに言った覚えはある。
何の話が始まるんだろうかと不思議に思いながら頷く。
専務と結婚していることを公表できないのは、加藤くん本人に肩書がないからだと聞いて、それはちょっと違うと思ったからだ。
もし本当にそうなのだとしたら、専務は加藤くんと結婚しなかったはず。
専務は、肩書に関係なく、加藤くん本人を好きになったのだろうから。
私には今ひとつ、加藤くんのどういった面を好きになったのかは理解に苦しむのだけれど。
きっと、私の知らない、素敵なところがあるんだろう。
「その言葉をそっくりそのままお返ししますよ」
「……え?」
何のことだかさっぱり分からない。
「雨宮さんも自信を持ったほうがいいということです」
「何に対して?」