冷徹社長が溺愛キス!?
あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、花に気を取られて歩き回ったせいで、自分がどの方向から来たのか分からなくなってしまった。
――そうだ。麻里ちゃんに電話を掛ければいいんだ。
ところが、リュックからスマホを取り出して愕然とする。
信じられないことに圏外になっていたのだ。
『電波は通じると思います』って言ってなかった……?
しばらく見つめていても、電波は一本も立たない。
一度切ったら復活するかもしれないと、祈りを込めて電源を落とす。
しかしそれも虚しく、圏外から変わる様子はなかった。
みんなのいる頂上を目指すのだから、とりあえず高い方へ歩いていけば、いずれは合流できる……?
……うん、きっとそう……だよね?
誰かに聞きたくても、答えてくれる相手はいない。
心細さの中ひとまず足を踏み出し、もはや道とも呼べないところをひたすら突き進んで行く。
私の足音に驚いてか、たまに鳥がバサッと飛び立つものだから、こっちまで肩がビクンと弾んだ。
既に歩き始めて三十分は経過したはず。
それなのに、コースに合流できないどころか、けもの道すら見当たらない。
そうなると、だんだんと焦りが出てくる。
どうしよう。本格的に遭難しちゃったのかな……。
私、ここで死んじゃうの……?
急に怖くなる。