冷徹社長が溺愛キス!?

「貸せ」


社長が私に向かって手を突き出した。
何を貸せと言っているのか分からず、口をポカンと開いて社長を見る。


「リュックだ」

「……はい? リュック?」


私の……?

そう言われても、まだ理解できない私。
ボケッと社長を見上げる私に痺れを切らしたか、彼はおもむろに私の肩に手を伸ばし、リュックを奪いにかかった。


「えっ……あのっ……」

「こんなに重いもん背負ってるから、余計にトロイんだっての。いったい何が入ってるんだよ」


社長は私からリュックを取り上げると、自分の左肩にそれを提げた。


「えっと……お弁当です……」


ボソッと答える。

麻里ちゃんと山頂で一緒に食べようと思って、たくさん作ってきたのだ。
確かに、ちょっと作りすぎたかとは思ったけど……。
それに、これはあとで思い至ったことだけど、麻里ちゃんは桐谷さんの分とふたり分作ってきているだろうから、余ってしまうことは必至だ。

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