冷徹社長が溺愛キス!?

「別に中身のことを聞いたわけじゃない」


社長は呆れるように言うと、「行くぞ」と再び歩き始めた。


「あのっ、ありがとうございます」


体が急に軽くなって、私の足取りは軽やかになる。
社長の早いペースにも、これならついていけそうだ。

社長は、荷物がもうひとつ増えたというのに、さっきと変わらないスピードで足を進める。
さすが、学生時代にラグビーで体を鍛えただけのことはあると妙に感心してしまった。
それに、山道から離れているというのに、迷う素振りはまったくない。


「社長の方向感覚、すごいですね」


素直な感想を言うと、社長は肩ごしに私を振り返り、「この山は庭みたいなものだ」と言った。

庭って、実家が山麓にでもあるんだろうか。


「大学の部活で、この山は何度も走って登ったからな」

「……走って、ですか」


すごいとしか言いようがない。
思わず隣に並んで、社長の顔を見た。

呼吸が乱れることもなければ、顔を苦痛に歪めることもない。超人だ。

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