冷徹社長が溺愛キス!?
◇◇◇
遠くのほうから、何かがパチパチと弾けるような音が聞こえてくる。
これは何の音だろう。
ふわふわとした心地の中、ゆっくり意識が覚醒していく。
薄っすらと目を開けると、真っ先に映ったのはオレンジに揺れる炎だった。
それが暖炉だと分かったのは、今自分のいる場所を思い出したからだった。
山小屋だ。
そうだ、速水社長と逃げ込んだんだ。
そこではっきりと目が覚める。
私は、山小屋の壁に背中をもたれかけるようにして座ったまま眠っていたのだ。
肩から膝に掛けられていたのは、空色のジャケット、社長のものだった。
彼は暖炉のそばで、こちらに背を向けて座っていた。
私が動いた物音で彼が振り返る。
「起きたのか」
「すみません、寝てしまって……。これ、ありがとうございました」
掛けられていたジャケットをふたつに折り、社長へ近づき差し出す。
「今夜はここで朝まで待機だ」
「えっ……」