冷徹社長が溺愛キス!?
「アホか! こんな悪天候の中、どうやって下山するつもりだ!」
厳しい叱責が飛んできたものだから、肩がビクンと震えた。
「昼間でさえ道に迷うドアホが、この暗がりでどうやって帰るって?」
立ち上がった社長が私の腕を掴む。
アホに“ド”まで付けられてしまった。
険しい表情ですごまれて、意思がふにゃふにゃと挫けていく。
社長の言うとおり。
当然ながら街灯のない山道。
そこを無事に下れるはずもないのだ。
「まさか俺が襲うとでも思ってるのか?」
「い、いえっ、その……」
ギロリと睨まれて言葉に詰まる。
ほんの一瞬だけ、そんな考えが過ったのは事実。
頭の中を見透かされたことで返す言葉が何ひとつ出てこない。
いっそのこと、遮光カーテンならぬ、“遮眼”カーテンに隠れてしまいたい。
社長は私の反応で、さらに気を悪くしたように顔を曇らせる。
「俺にだって選ぶ権利はある」
憮然と言い放った。